ポスト・コロナ~世界秩序の揺らぐ中で

こんにちは、永田です。(@ trombonemusic11)

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先日、東京大学主催の —米中体制間競争と中東・ロシア というオンライン・セミナーに参加して米中関係、ロシア、中東のこれからの関係性を考えていく機会を持つことができたのでまとめてみました。

コロナの最中

新型コロナウイルスをはじめ多くの感染症が世界中に蔓延した歴史がありました。歴史の中の大きな感染症蔓延はスペイン風邪だといわれています。その当時も蒸気機関など新しい技術によって各国が以前よりもスピード感をもってやり取りをし始めるグローバル化が起きていたそうで、それは今のコロナ禍と状況に似ていると言います。確かにオンライン化が進み無駄が省かれてスピード感が出ている点が似ています。

そして、このコロナウイルスの蔓延によって先進国、民主主義の弱さが露呈されました。またその反面、ドイツ、韓国の対策や動きは力強く感じました。

中国は大規模な都市封鎖をしました。また隣組のような近所の5世帯ぐらいをグループにした機能を使って外出を自粛させて感染拡大を防ぎました。マレーシアはコロナの最中、政権が選挙なしで変わったことに国内の反発を生んでいます。このコロナの影響では民主主義においても、一国主義になってしまっているという意見がありました。

米中体制間競争

米中対立を振り返ると以前から始まっていたことが分かります。中国は5G、人口衛星北斗、大きなインフラなど国際公共システムを独自で作ろうとしているため、これがアメリカとの対立の原因となりました。即ち中国はアメリカにまだ無いものを作り出したということです。そしてアメリカはその認識に遅れてしまいました。(2017年に認識)

中国政府はアメリカを中心とする国際関係に反対をする声明を2016年に出しました。しかしアメリカは対立は避けて交渉をしていく路線を取りました。そして2020年、中国はアメリカの軍がコロナを持ち込んだと批判した。

中国政府の意見は雑誌エコノミストと、中国語で書かれた中国国内の経済雑誌では言っている内容が全く違うので裏表があるといい事実は中国の経済雑誌の内容なのだそうです。これからは中国が国際ルールを作っていきたい、中国国内の共産主義を強化していくというのが中国政府の考えです。

コロナの最中、中国の武漢で医者が死亡することがありました。(政府関与で処罰)SNSでは中国国民がこのことに意見していました。中国国内では政府から国民へのトップダウンだけでなく、国民から政府へのボトムアップの動きもあったということです。

また中国の南シナ海、尖閣諸島、日本の漁船追尾、台湾への圧力など国境付近での動きがあります。これらは領土獲得のための中国のルーティーンワークかと言われていて近隣国を動揺させるためなのだそうです。

習近平国家主席は2020年には2010年と比べて2倍の経済成長をという目標を目指していたが、コロナ禍によって実現は不可能になりました。しかし中国のテクノロジーは世界の最先端を行っているのでポスト・コロナの世界ではV字回復をするかもしれません。

中国はアメリカだけでなくヨーロッパ、オーストラリアとの関係性が悪化していました。しかし日本のことは持ち上げて上手く接していたのですが、アメリカへのフォローの欠如によって米中関係が悪化してしまいました。

他にはアフリカではナイジェリア、ザンビアでの反中運動が勃発しています。しかし中国の行っているモデルを変更して他国が運用することは難しいと言います。それは既に高度なシステムが出来上がっているからです。

少し私感を挟むと、私は2018年~2019年にかけて何度か中国の深圳、北京に行きましたが日本ではまだ普及していないテクノロジーがありました。

現在の衛星システムは中国のものが増えていて宇宙開発を国家プロジェクトとして中国は進めているのです。ポスト・コロナの世界では中国型のニューノーマルを作り出す可能性があります。近隣国である朝鮮半島、台湾を含む東アジアで日本がどのように動くのかを考える時ですね。これは国家としてではなく日本人として。

アメリカの現在と将来

冷戦の起源は朝鮮戦争であると仮定して考えてみましょう。米国は第二次世界大戦の4倍にあたる国防予算を朝鮮戦争につぎ込んだそうです。朝鮮戦争勃発から今年で70年、半島の統一など何かいい動きがあるといいですね。(在日朝鮮人の友人は国は1つだが連邦制にして経済は南北で分けるのが良いと話していた)

少し話がそれましたが、コロナ禍は世界の大戦争の勃発への始まりなのか。中国は冷戦後の米国の政策をずっと批判してきました。今に始まったことではないという事です。この100年ぐらいはアメリカの考えを中心に世界が回ってきたので、経済的にも軍事的に力を付けた中国はアメリカ中心の国際社会を変えたいと思っているのです。そういった動きから国外に多くの工場を作ってきた米国の脱グローバリズム化を確定させるものと言われています。

グローバリズムとグローバリゼーションこの二つを混同しないことが大切なのだそうです。
トランプ大統領が批判していることはグローバリゼーションの現実を批判はしておらず、グローバリズムについて批判であるということです。即ち、世界の国々の経済が関係しあっていることは問題がないが、地球にある国々は1つだという考えについて批判をしているということ。このことによって一国主義、脱グローバリズム化が進むと言われています。

感染症は昔からありますが今は当時より医療は発展している。しかしコロナを止められないほどグローバリズムは進んでいる。世界中の製造業が止まり世界中に影響がありました。

新しい交易とは何か。自由で公正 に付け加えて +安全が強く求められる時代が来ました。それは米国が多くの工場を置く中国は米国の安全を脅かすものであると考えたわけです。これは皮肉なものでグローバリズムを用いて発展した国がグローバリズムによって危機に陥っているのです。逆に中国はグローバリズムを用いて強くなった国です。

ウイルス戦争、直接の戦争ではないが多くの死者が出ました。朝鮮戦争の死者の三倍だと言われています。中国はこのことを反省せずにわざと米国を挑発しています。
アメリカがこの状況を許せば今後中国は本当に脅威となる可能性があるということです。

米中対立の原因として考えられることはアメリカは中国が経済発展をしたら民主的な国になるだろうと期待していたがそうならなかったことが1つ上げられます。中国は確かに経済成長しましたが、米国は超大国なので対等とはならない事実があるということも忘れないようにしたいです。

イギリスとアメリカを比べると、イギリスとはお金で解決できるが、アメリカとの問題解決はお金と理念が必要になるということ。アメリカによる世界の平和(パックス・アメリカーナ)みんなをまとめるには、軍事力、経済力、そして理念(イデオギー)が必要だということです。中国にはこの理念が足りていないのではないかという問いがありました。それは中国の選挙制度を見ると民衆の投票で代表を決められないことが挙げられます

白人警官が黒人市民を死亡させたことに抗議するデモが全米に広がる中、そのデモ隊を威嚇するようにワシントン上空をヘリコプターが飛んでいる状況があります。この武力での威嚇行為に対して中国政府が人権と自由を抑圧する自国の強権的な体制を正当化するため悪用していると非難する声明をアメリカ政府が発表。アメリカはなかなか一枚岩になれないがこの中国問題は1つになれるぐらいの問題だということです。

日本がしなければならないことは、自由、公正、安全のある交易をリードすることと、間に入って中国政府を説得することではないでしょうか。

アメリカの強い部分

まず挙げられるのは経済制裁など影響力が大きいことです。今後、中国に対してどのような矛先を見せていくのかが専門家によって予想されています。2020年5月20日 アメリカ政府は中国に対する戦略的アプローチとなる長期的なプランを作りました。

体制間競争の中で生まれるもの
・最新技術、軍事技術の進歩(冷戦後たるんでしまった部分)
・国際秩序が安定
・中国が行っていたWIN・WINというものをアメリカは拒否する事
体制間競争の中でアメリカが大切にしている価値観をアピールして再確認することができます。

ストラテジック・アプローチ(全体に対して行う目標)、これまでにアメリカは日本に対してABCD包囲網、北朝鮮、イランに対して金融制裁を行ってきましたが、 現在は抜け穴がたくさんあるため昔のように陸空海をすべて閉鎖はできない状況です。

経済制裁の方法で考えられるのはアメリカにある中国の資産を凍結するという方法です。世界貿易はドルで行われているためアメリカの銀行を通して動かしているため、一度アメリカ国内を通ることでアメリカの国内法を使うことになります。これを基にして金融制裁が行われるのです。こうすることでアメリカが指定した金融サービスを止めることができます。

北朝鮮、イランはドル決済ができない状態です。政治的腐敗、人権、民主主義へのに対する制裁など経済制裁の範囲が広がっています。経済制裁は国際法では違反だが、アメリカ国内法によってアメリカ国内の対象国の金融機関に対する制裁のため違反にはならないというしくみなのです。アメリカの台本制作は上手いので日本もイランとは取引ができていない状況です。

今後の中国に対しての制裁はHuaweiに対して、半導体メーカー輸出制裁が考えられます。

アメリカ国内での中国に対する怒りが集まっているため経済制裁につながると考えられます。そして経済制裁は半永久化していくことになり、戦争につながるが戦争は起こさないように軍事技術の競争、経済制裁で解決をしていくのでしょう。(今までも冷戦中のみ戦争が起きなかった歴史がある)軍事力を使わずに経済制裁で解決をしていきます。大国間でこのような事でいいのかという批判もあるが他に方法がない状況なのです。

ロシアと中東~まとめ

ロシアについて、体制間競争などによって世界のパワーバランスが揺らぐ中で国家とのあいだにどのような関係が必要なのでしょうか。それは考え方、組織の根本にある理念だと思います。

ロシアは苦しい立場、それはパワーの部分でこれまではアメリカ、ロシア、中国の順番だったのですが、現在ロシアはGDP11位 科学技術力も最先端ではなく人口も少ないのです。またコロナの移動制限によるオイル価格減のためウラル山脈の油田の継続が大変厳しい状況になっています。今後も移動が必要ない世界となるのか、続けば続くほど苦しくなるのです。GDPマイナス4%の予想、勝ち上がりにくく、資金がないため軍事力も落ちてしまいます。中国は何とかコロナの後も踏みとどまれるが、ロシアは崩れ去る可能性があると言われています。そしてこの次の十年間で立場が逆転する可能性もあります。

実はロシアはコロナ禍を機に西側諸国と関わろうとした(イタリアに医療支援をした)西側諸国との関係性の改善を考えているのではないかと言われています。

中東諸国について産油国であり空港のトランジット機能があった地域です。ウラル山脈の油田と同様に移動制限と共に厳しい状態であります。中東諸国は中国を中心とするアジア側に付くのか、それともアメリカ側に付くのか? 中国の一帯一路政策が緩んでいて、このことによりどれぐらい打撃があるのかがまだ分からい状況です。

中国に厳しいことを言っているのは超党派であり、中国のどこが気に食わないかは地域や人によって違うと言います。先ほどコロナ禍の中でロシアがイタリアに医療支援したと言いましたが中国も加わっていたのです。色んな面を考えても中国経済の成長率はそんなに下がらないのではないかと言われています。中国国内の経済が回復すれば従来の方向性に軌道修正をするだろうという考えがあります。中東諸国は中国の悪い部分はみんな分かっているがアメリカにべったりとはくっつかないのです。

アフリカ諸国について。広東省にあるアフリカ人コミュニティにおいての人権問題。コロナ禍で中国国内で在留アフリカ人への差別が起きたことによってもアフリカ諸国の反発を受けました。中国がアフリカから一度手を引いて今後はどのように動くのかが中国、他の先進国もカギとなるでしょう。

アメリカと中国がいざ戦争となったときに世界の国々はどちらに付くのか?
ベトナム、ミャンマーは中国側?しかし中国側に付くと経済制裁を同じように受ける可能性があります。

現状として中国の経済は動き出していて、アメリカの失業率も改善してきています。(コロナ第一波において)この状態でアメリカが経済制裁を行うかは現段階では不明です。

イランへの経済制裁は市民生活に影響を与えて反政府意識を作り出そうとしています。同じ方式をとるのか不明です。

中国のドル離れはどれぐらいなのか。そしてなぜユーロはドルのようにならないのか。それは軍事力がカギとなっていてアメリカは軍事力があるからいざというときにドルを守ってもらえるという安心があるから多くの人が使っているのです。

人民元とドルの違いは何かというと、人民元はスマホ決済など便利ではあるが国家管理でありドルの方が自由度があるため人々はドル選ぶのではないかと言われています。しかし経済制裁を受けている国家同士の結束が起きると経済制裁は意味を為さなくなるのではないでしょうか。経済制裁によって対象国の人、物、金が止まってしまいますが、コロナ後、物と金は戻るが人の流れは相手を選んでいくのではないかと言われています。

中国は無人化、自動化(ドローンなど)のノウハウがたくさん持っています。そしてデジタル人民元が普及した場合、世界の人は信用して使用するのかどうかということがあります。おそらく人民元は中国経済の飛び地のような場所 中国人が多い場所では通用する可能性があります。(中東など)。

アメリカの銀行はテロリストにお金が渡らないために顧客の顧客を調べろという状態になっているがデジタル通貨は紙のお札を使わないので銀行を通さない取引のため他の通貨を考えた時に人々が人民元を使用する可能性もあります。

こういった状況を踏まえて、まだ世界の秩序がこれからどう変わっていくのかが確実には読めないので世界の情勢にアンテナを張っておいていつでも動き出せる状況にしておくことが必要になってくると思います。英語だけでなく中国語の学習も決して無駄にはならないかもしれませんね。いつでもしなやかに動けるようにしておきたいですね。最後までお読みいただきありがとうございます。またお話いたしましょう!

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