こんにちは、永田です。(@ trombonemusic11)
今日は2012年から最初は参加者として関わり始めてスタッフ、指揮者として進めてきたフィリピン・セブ島の音楽プロジェクトを振り返ってみたいと思います。第1回目は参加していないので省略しますが関わってきた2期~11期について書いていきたいと思います。
フィリピンの子どもたちのためのオーケストラプロジェクトとは?
はじめに
このプロジェクトは最初は学生団体としてUUUオーケストラプロジェクトという名前で始まり、現在はフィリピン・セブ島で音楽とスポーツを用いたライフスキル教育をしているNPO法人セブンスピリットの主催事業として運営されている海外スタディーツアーのひとつです。
この5年間でセブ島の音楽人口を増えたり、学校の音楽教育の環境が少しずつ良くなってきていると感じています。私は次回12期から担当からは外れますが、これからのプロジェクトがよりよいものになるように各回を振り返っていきたいと思います。簡単なまとめ記事のような役割になれたらなと思います。それでは始めます。
フィリピンの子どもたちのためのオーケストラプロジェクトとは?
ミンダナオ島でも演奏した2期~2013年2月
2期は私がまだ日本で働いていた頃で初めてフィリピンに来た時でした。私は到着したその夜に財布を盗まれるという海外旅行ビギナーっぷりを発揮した苦い思い出もありますが、このときに私の財布を持って走って逃げていった子ども達の笑顔がなんともいえない気持ちにさせられました。この時に一緒に行った大学生達に毎日生活費を恵んでもらいながら生活をしていました(笑)共演したセブ・フィルハーモニック・オーケストラ(以後、現地オケ)のメンバーとミンダナオ島のカガヤン・デ・オロという街で演奏会を開催しました。現地オケのコンサートマスターのMarc にもお金が無くて大変だろうとフィリピンのふ化直前の卵のゆで卵、バロットを食べられたら寄付をするよって遊びでそんな話を持ちかけられて、ホントにひもじかったので、思い切って食べて1,000ペソをもらいました。今でも関わりのある大切なフィリピン人達と出会えた大切な1週間でした。
【プログラム】
風の舞
カルメン組曲
セドナ
インザムード
ダッタン人の踊り
カヴァレリアルスティカーナ 間奏曲
ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
3期~4期-2014年2月&9月
この頃までは国内で事前に2泊ぐらいの合宿をしてから現地入りをしていました。同じ釜の飯を食うという意味でも楽しかったし、仲が深まったのではないかなー。
3期と4期は指揮は東京大学の木許さんが担当されました。
私もスタッフとして、また3期は急遽ユーフォニアムの参加者がキャンセルとなりユーフォニアムで参加しました。ピアノのソリストの共演もあり、印象深いものになりました。また境最大級の台風ヨランダの被害の後というのもありセブ市の郊外の避難キャンプにて野外コンサートを開催、両親をなくしてしまった子ども達もいて、涙なしでは語れない瞬間でした。
【3期プログラム】
ベートーベン 交響曲第5番
プロコフィエフ ピアノ協奏曲第1番
3つのジャポニズム
オリエント急行
など
アナと雪の女王が大人気で学校公演ではどこでも大合唱でした。
【4期プログラム】
スターパズルマーチ
威風堂々
Let it go
アナと雪の女王 メドレー
など
5期~11期 2015年~2018年
5期からは前任者から引継ぎ私が中心となって進めていきました。指揮者には私の友人でもありアメリカ・ユタ州のプロの吹奏楽団のテューバ奏者でもあり日本でも指導者として活躍している大村さんが担当しました。
この時はセブの南部のアルガオという田舎町にも足を運び演奏を届けました。
その町の子ども達から「今日のコンサートが人生で一番楽しかった」という嬉しい言葉をもらいました。またセブの色んな音楽団体が一度に集まる音楽フェスティバルも開催しました。色んな演奏が聴けて、お互いを知るきっかけにもなりましたね。
【5期プログラム】
ホルスト 第1組曲
マンマミーア メドレー
レ・ミゼラブル・セレクション
など
6期はセブの刑務所でのコンサートを開催しました。フィリピンの刑務所ではダンスを用いて囚人の更生をおこなっている。そう言えばまだ刑務所のダンスを観たことないから見てみたい、何ならオーケストラが伴奏して共演できないものかと考え付きました。これもとても感動したし、印象に残っています。そして私もトロンボーンのソロを演奏しました。
【6期プログラム】
リムスキーコルサコフ トロンボーン協奏曲
スリラー
夜間飛行
ウィー・アー・ザ・ワールド
アルルの女 第1組曲
シング・シング・シング
など
7期は現在のこのプロジェクトのスタッフのプロのホルンの田代さんがモーツアルトのホルン協奏曲第1番を演奏しました。また2回目となる音楽フェスティバルを成功させることができました。
【7期プログラム】
モーツアルト ホルン協奏曲第1番
カルメン組曲
イン・ザ・ムード
など
8期と9期はソプラノ歌手のSunny さんを迎えて共演しました。フィリピン人は歌が大好きなのでとても盛り上がりました!
8期はレ・ミゼラブルに取り組みました。
【8期プログラム】
レ・ミゼラブル セレクション
ベートーベン 交響曲7番
リトル・マーメイド・メドレー
など
9期はの子どもたちの日本公演に向けてということもあり、ふるさと、など日本歌曲にも取り組みつつ、ソプラノ歌手Sunny さんにはオペラ座の怪人で共演、また私の幼馴染の楮谷さんにサムライの殺陣(たち)を演じてもらい、オーケストラと殺陣のコラボレーションが実現しました。これもずっとしてみたかった事なので実現できて良かったです!
ドボルザークの交響曲8番は作曲者自身が仕事でニューヨークに発つ前に作曲された曲で故郷の自然や親しい人々との時間が描写されています。故郷と離れたくないという気持ちが最後の4楽章に隠れています。
一方、多くのフィリピン人も海外に出稼ぎに行って故郷を離れています。
この交響曲に隠れているI miss you (恋しい気持ち)をフィリピンの人々と共有することができました。
【9期プログラム】
ふるさと
オペラ座の怪人
ドボルザーク 交響曲第8番
Tomorrow
など
10回目を迎えた記念すべく10期はフィリピンで最も人気のある映画タイタニックに取り組みました。また私の友人のベルギー人の作曲家のデイビッド・アンさんのセブの冒険という新曲も演奏したり、楽器紹介でもフィリピン人に愛されている曲を用いて演奏しました。
【10期プログラム】
星野源 恋
サンサーンス サムソントデリラよりバッカナール
タイタニックメドレー
リバーダンス
など
11期は兵庫県の武庫川女子大学の学生12名がダンスチームとして加わり、パフォーマンス性の高いステージを作り上げることに成功しました。
【11期プログラム】
銀河鉄道999
ハイスクールミュージカル メドレー
モアナ
など
さいごに
これまでの参加者がのべ300名、音楽を30.000人以上のフィリピンの人々に音楽を届けてきたプロジェクトです。私もこのプロジェクトを通してたくさんのことを学ぶことができました。
次回の12期からは私の同僚でもあるフィリピン人のトランペット奏者のレイドンが指揮を務めます。また新しい雰囲気でプロジェクトが進んでいくのではないでしょうか。私は現地でサポートしながら観客のつもりで見守りたいと思います。メンバーの募集も始まっているそうです。ご興味のある方はぜひ参加してくださいね!